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2025.08.13 コラム

特定技能制度の今後の展望は?対象分野拡大の最新ニュースまとめ


1.【結論】特定技能制度は「拡大・永続化」へ!3つの大きな変化

日本の労働力不足に対応する切り札として2019年に導入された特定技能制度。制度開始から数年が経過し、今、そのあり方は大きな転換期を迎えています。結論から言えば、その方向性は明確に 「対象分野の拡大」「制度の永続化」 です。これは、特定技能が一時的な労働力の穴埋めではなく、日本の社会を支える基幹的な制度として位置づけられたことを意味します。本記事では、この大きな変化を読み解くための3つの重要ポイントと、企業が今から何をすべきかを、最新ニュースに基づいて徹底解説します。

変化1:対象分野の拡大(1号・2号)

まず最も分かりやすい変化が、活躍できるフィールドの拡大です。2023年から2024年にかけて、特定技能1号・2号ともに、対象となる分野が大幅に追加されました。これは、より多くの業界で深刻化する人手不足に対応するための動きであり、これまで特定技能の活用を検討できなかった業種の企業にも、新たな門戸が開かれたことを意味します。具体的な拡大分野については、後続の章で詳しく解説します。

変化2:新制度「育成就労」の創設(技能実習を廃止・統合)

次に、中長期的な視点で最も重要な変化が、新制度「育成就労」の創設です。これは、現在の技能実習制度を廃止し、特定技能制度と連携させる形で、外国人材を「育成」し「確保」することを明確な目的とした制度です。2027年からの開始が検討されており、これにより、外国人材は日本で計画的にキャリアを形成し、特定技能へとスムーズに移行できるようになります。企業にとっては、より質の高い人材を安定的に確保できる道筋が整うことになります。

変化3:政府目標「5年で82万人」が示す本気度

政府は2024年度からの5年間で、特定技能の受け入れ人数を最大82万人とする目標を掲げました。これは、過去5年間の受け入れ実績(約20万人)の4倍に相当する野心的な数字です。この高い目標は、日本政府が特定技能制度を、今後の労働力確保政策の柱として位置づけていることの何よりの証拠です。企業は、この国の方針を前提として、長期的な視点で外国人材の活用を経営戦略に組み込むことが求められています。

2.特定技能1号の対象分野はどう拡大した?

特定技能1号は、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。在留期間は通算で上限5年とされています。この1号の対象分野が、2024年に拡大されました。

2024年3月に追加された4分野とは?

2024年3月29日の閣議決定により、特定技能1号の対象分野に以下の4つが新たに追加されました。これにより、これまで人手不足に悩みながらも特定技能を活用できなかった業界に、新たな光が差し込むことになります。

  1. 自動車運送業:バスやタクシー、トラックの運転手など
  2. 鉄道:運転士、車掌、駅係員、保線など
  3. 林業:育林、素材生産など
  4. 木材産業:木材加工、合板製造など

特に、私たちの生活に不可欠な公共交通や物流を支える自動車運送業や鉄道分野の追加は、社会インフラを維持する上で極めて重要な一手と言えるでしょう。

これで合計16分野に!対象業務一覧

今回の4分野の追加により、特定技能1号の対象分野は合計で16分野となりました。改めて全分野を一覧で確認しましょう。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 工業製品製造業(旧:素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業を統合)
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業
  13. 自動車運送業(NEW)
  14. 鉄道(NEW)
  15. 林業(NEW)
  16. 木材産業(NEW)

さらなる拡大へ!2025年以降に追加検討中の3分野

分野拡大の動きは止まりません。政府は、2025年以降の追加候補として、新たに以下の3分野の追加を検討していることを明らかにしました。

  1. 倉庫管理
  2. 廃棄物処理
  3. リネン供給

これらはいずれも人手不足が顕著な分野であり、2025年12月の閣議決定を目指して調整が進められています。実現すれば、2027年にも受け入れが開始される見込みで、特定技能制度がカバーする領域はさらに広がることになります。

3.【無期限就労・家族帯同へ】特定技能2号の対象分野も大幅拡大

特定技能2号は、1号よりもさらに熟練した技能を持つ外国人材向けの在留資格です。その最大の魅力は、実質的な永住への道が開かれる点にあります。

特定技能2号のメリットとは?

特定技能2号に移行するメリットは絶大です。具体的には、以下の2点が挙げられます。

  • 在留期間の更新が無制限:条件を満たす限り、在留期間を何度でも更新でき、日本で長く働き続けることが可能です。
  • 家族の帯同が可能:配偶者と子供を日本に呼び寄せ、一緒に暮らすことができます。

これは、外国人材にとって、日本での生活設計を安定させる上で極めて重要な要素であり、企業にとっては、優秀な人材に長期的に定着してもらうための強力なインセンティブとなります。

2023年に追加された9分野

これまで特定技能2号の対象は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみでしたが、2023年6月の閣議決定により、以下の9分野が新たに追加されました。

  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

この拡大により、特定技能1号の全12分野(当時)のうち、「介護」を除く11分野で2号への道が開かれました。

なぜ「介護」は2号の対象外なのか?

ここで、「なぜ介護分野は2号の対象ではないのか?」という疑問が浮かびます。その理由は、介護分野には既に、特定技能2号よりも優れたキャリアパスが存在するからです。具体的には、国家資格である 「介護福祉士」 の資格を取得することで、在留資格 「介護」 に移行できます。この「介護」ビザは、在留期間の更新が無制限で、家族の帯同も可能であり、特定技能2号と同等以上の優遇措置が受けられます。そのため、介護分野では、特定技能2号を新設するのではなく、介護福祉士へのキャリアアップを推奨する形が取られているのです。

4. 技能実習は廃止へ!新制度「育成就労」と特定技能の関係

今後の特定技能制度を語る上で、避けて通れないのが「育成就労」制度の創設です。これは、現在の技能実習制度を抜本的に見直し、特定技能制度と一体的に運用していくための、全く新しい仕組みです。

「育成就労」制度の目的:「人材育成と確保」

技能実習制度は、建前上「日本で培った技能を母国に持ち帰る国際貢献」を目的としていましたが、実態としては、人手不足を補う安価な労働力として機能している側面が問題視されてきました。そこで、新設される「育成就労」制度では、目的を 「外国人材の育成と確保」 に真正面から転換します。3年間かけて、特定技能1号レベルの人材へと計画的に育成することを目指します。

技能実習との最大の違い:「転職」の緩和

育成就労制度の最も大きな変更点の一つが、本人意向による転籍(転職)が、一定の条件下で認められることです。これまでの技能実習では、原則として転職が認められず、労働者が劣悪な環境から逃れられない一因とされていました。育成就労では、同じ職種内で、1〜2年の就労期間などの要件を満たせば、本人の意思で職場を変えることが可能になります。これにより、労働者の権利保護が強化されると共に、企業側にも、選ばれるための労働環境改善への努力が求められることになります。

3年で「特定技能1号」レベルへ。シームレスな移行

育成就労制度は、特定技能制度への入り口として明確に位置づけられます。3年間の育成就労期間を修了した人材は、特定技能1号の技能試験と日本語試験が免除され、スムーズに特定技能1号へ移行できます。これにより、 「育成就労(3年)→特定技能1号(最長5年)→特定技能2号(無期限)」 という、長期的なキャリアパスが描けるようになります。これは、外国人材にとっても、受け入れ企業にとっても、将来の見通しが立てやすい、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

5. 今後の課題と、受け入れ企業が今から準備すべきこと

制度が拡大し、より多くの外国人材が日本で働くようになると、受け入れ企業側の責任もますます重要になります。最後に、今後の課題と、企業が今から準備すべきことについて触れます。

増加する外国人材との共生

特定技能外国人は、単なる「労働力」ではなく、地域社会の一員です。彼らが日本で孤立することなく、安心して生活し、能力を発揮できる環境を整えることが不可欠です。これには、言語や文化の壁を乗り越えるためのサポートはもちろん、地域住民との交流を促進するなど、企業が主体となった「共生」への取り組みが求められます。出入国在留管理庁が 「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」 を推進していることからも、その重要性が分かります。

変化に対応する支援体制の構築

制度が複雑化し、発展していく中で、企業が単独で全てのルールを把握し、適切な支援を行うのは容易ではありません。そこで重要になるのが、登録支援機関の活用です。登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた、特定技能外国人支援の専門家です。煩雑な申請書類の作成代行から、義務付けられている10項目の支援の実施まで、専門的な知識で企業をサポートします。制度の変更点に迅速に対応し、法令を遵守した適切な受け入れ体制を構築するためにも、信頼できるパートナーとして、登録支援機関との連携を検討することが、成功への近道となります。

まとめ

特定技能制度は、対象分野の拡大と新制度「育成就労」の創設により、日本の人手不足解消に向けた、より本格的で永続的な制度へと大きく舵を切りました。これは、受け入れを検討する企業にとって、安定的に人材を確保できる大きなチャンスです。

重要なのは、これらの変化を正しく理解し、外国人材を「短期的な労働力」ではなく、「長期的なパートナー」として迎え入れる視点を持つことです。彼らのキャリア形成を支援し、働きやすい環境を整えることが、結果として企業の成長に繋がり、ひいては日本社会全体の持続可能性に貢献します。この大きな変化の波を捉え、未来への一歩を踏み出す準備を、今から始めてみてはいかがでしょうか。



目まぐるしく変わる特定技能制度の最新情報や、複雑な申請手続き、そして最も重要な受け入れ後の支援体制の構築まで、専門的な知識を持つ登録支援機関が、貴社を強力にバックアップします。少しでもご興味やご不安がございましたら、まずはお気軽に無料相談からお問い合わせください。

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