人材不足解消への6ステップ!採用担当者がすべきこと 第5回
人材不足の根本的な解決策:3つの視点
人材が足りず、その場しのぎの対応に疲れていませんか?根本的な解決には、より広い視点からの対策が必要です。この章では長期的な視点から考える解決策を紹介します。
・社会的背景の理解:労働人口減少、働き方改革
・組織文化・働き方の見直し:エンゲージメント、多様性
・従業員のモチベーション向上:評価制度、スキルアップ支援
それでは順に解説していきましょう。
社会的背景の理解:労働人口減少、働き方改革
人材不足の根本的な解決には、まず社会的背景を正確に理解することが重要です。日本の労働人口は2015年の約7,600万人から2030年には約7,000万人に減少すると予測されており、単純に「採用を増やす」だけでは対応できない構造的な課題となっています。この人口減少トレンドは一時的なものではなく、少なくとも今後20〜30年は継続すると考えられています。
また、政府主導の働き方改革により、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の原則強化、有給休暇取得の義務化など、労働環境に関する規制が強化されています。これらの制度変更は労働者保護の観点からは望ましいものですが、企業側には人材確保や労務管理の負担増加をもたらしています。特に中小企業においては、制度対応のためのリソース不足が課題となっています。
これらの社会的背景を踏まえると、単純な「人数確保」を目指すのではなく、生産性向上や業務効率化を通じて「一人あたりの付加価値」を高める戦略が不可欠となります。具体的には、デジタル技術を活用した業務自動化(RPA)の導入、AI技術の活用、不要な業務の廃止など、業務プロセス全体の再設計が求められます。ある製造業では、生産ラインの自動化と業務プロセスの見直しにより、従業員数を増やすことなく生産量を20%増加させることに成功した事例もあります。
組織文化・働き方の見直し:エンゲージメント、多様性
人材不足の解決には、組織文化や働き方の根本的な見直しも重要です。従業員エンゲージメント(仕事への熱意や愛着)の高い企業は、離職率が低く、生産性も高いことが複数の研究で示されています。ギャラップ社の調査によれば、エンゲージメントの高い企業は低い企業と比較して、生産性が17%高く、離職率は24%低いという結果が出ています。
エンゲージメントを高めるためには、従業員が「自律性」「成長機会」「仕事の意義」を実感できる環境づくりが重要です。例えば、業務の進め方に関する裁量権の付与、スキルアップのための学習機会の提供、自分の仕事が会社や社会にどう貢献しているかを可視化することなどが効果的です。また、定期的なエンゲージメント調査を実施し、結果に基づいて具体的な改善策を実行することで、組織文化の継続的な改善が可能になります。
多様な人材の活躍を支援する体制も重要です。女性、シニア、外国人材、障がい者など、従来の採用市場では十分に活用されていなかった人材プールにアプローチすることで、人材確保の可能性が広がります。しかし、単に多様な人材を採用するだけでなく、それぞれの特性や事情に合わせた働き方を可能にする制度設計が不可欠です。例えば、時短勤務やリモートワークの導入、バリアフリー環境の整備、多言語対応のマニュアル作成など、様々な配慮が必要となります。
従業員のモチベーション向上:評価制度、スキルアップ支援
従業員のモチベーションを高める施策も、人材不足解消の重要な要素です。公平で透明性の高い評価制度は、従業員の努力や成果を適切に認識・報酬化する基盤となります。特に重要なのは、評価基準の明確化と評価プロセスの透明性です。従業員が「何が評価されるのか」を理解し、自分の評価結果についてフィードバックを受ける機会があることで、仕事への意欲が高まります。
また、成果だけでなく「成長」を評価する視点も重要です。新しいスキルの習得や挑戦的な課題への取り組みを評価することで、従業員の学習意欲を高め、組織全体の能力向上につながります。ある調査によれば、「成長機会の乏しさ」は若手・中堅社員の主要な離職理由の一つであり、継続的なスキルアップを支援する体制が人材確保には不可欠です。
スキルアップ支援の具体的な方法としては、社内研修プログラムの充実、外部セミナーや資格取得への補助、オンライン学習プラットフォームの導入などが挙げられます。特に注目すべきは「リスキリング」(既存スキルの再構築)と「アップスキリング」(既存スキルの高度化)の支援です。テクノロジーの進化により多くの業務が自動化される中、従業員が新たな価値を生み出せるスキルを身につけられるよう支援することは、企業の競争力維持と従業員の雇用安定の両方に寄与します。
さらに、従業員間の知識共有を促進する文化づくりも重要です。ナレッジマネジメントシステムの導入、社内勉強会の開催、メンタリングやコーチングの仕組み化など、組織内の知恵を共有・活用できる仕組みを整えることで、個々の従業員の成長を加速させることができます。これは特に、熟練社員の退職により技術やノウハウが失われる「2007年問題」や「2025年問題」と呼ばれる課題への対応策としても有効です。
次は組織全体の成長につながる4つの人材戦略について見ていきましょう。