特定技能の対象国はどこ?国別の特徴と送り出し機関について専門家が解説
「特定技能外国人を受け入れたいけれど、どの国から人材を呼べるのだろうか?」
「国によって、手続きや人材の特徴に違いはあるのだろうか?」
特定技能制度の活用を検討する際、多くの企業担当者様がこのような疑問をお持ちです。人材の国籍によって、国民性や仕事への価値観、そして日本へ受け入れるための手続きが異なるため、対象国への理解は非常に重要です。
この記事では、特定技能制度における対象国の考え方から、日本が「二国間協力覚書(MOC)」を締結している国の最新リスト、主要国別の特徴、そして重要な役割を担う「送り出し機関」について、専門家の視点から分かりやすく解説します。
結論:特定技能はどの国の人材でも受け入れ可能です!ただし…
まず結論からお伝えすると、特定技能制度では、国籍による受け入れ制限はありません。理論上は、どの国籍の外国人材でも特定技能ビザを取得することが可能です。
ただし、実際には多くの企業が「二国間協力覚書(MOC: Memorandum of Cooperation)」を日本と締結している国から人材を受け入れています。
特定技能の「二国間協力覚書(MOC)」締結国一覧
二国間協力覚書(MOC)とは、日本と相手国との間で、特定技能人材の円滑かつ適正な送り出し・受け入れを実現するために交わされる約束事です。主な目的は、悪質な仲介業者を排除し、両国政府が連携して労働者の保護を図ることにあります。
2024年6月現在、日本がMOCを締結している国は以下の通りです。今後も対象国は拡大していく可能性があります。
【MOC締結国一覧】
- フィリピン
- カンボジア
- ネパール
- ミャンマー
- モンゴル
- スリランカ
- インドネシア
- ベトナム
- バングラデシュ
- ウズベキスタン
- パキスタン
- タイ
- インド
- マレーシア
- ラオス
- キルギス
(順不同)
MOC締結国から人材を受け入れる場合、その国の政府が認定した「送り出し機関」を経由するなど、国ごとに定められたルールに従って手続きを進める必要があります。
【主要国別】特定技能人材の特徴と受け入れのポイント
ここでは、特に日本への送り出しが多い主要な国の特徴と、受け入れ手続きにおけるポイントをご紹介します。
※国民性については一般的な傾向であり、個人差があることをご理解ください。
1. ベトナム
特徴: 親日的で真面目、勤勉な国民性で知られています。手先が器用な人も多く、製造業や建設業、農業など幅広い分野で活躍しています。技能実習からの移行者も非常に多いのが特徴です。
手続きのポイント: ベトナム労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)が認定した送り出し機関を通す必要があります。受け入れ企業は、ベトナム大使館で「推薦者表」の発給を受けるなど、他国にはない独自の手続きが必要です。
2. フィリピン
特徴: 公用語に英語が含まれるため、英語でのコミュニケーションが可能な人材が多いです。ホスピタリティ精神が旺盛で明るい性格の人が多く、介護分野や外食・宿泊業で高い評価を得ています。
手続きのポイント: 移住労働者省(DMW)が管轄する駐日フィリピン共和国大使館移住労働者事務所(MWO)(旧POLO)への雇用契約の申請・認証手続きが必須です。手続きが厳格で時間を要する傾向があります。
3. インドネシア
特徴: 人口が多く、若年層が豊富な親日国です。穏やかで協調性のある人が多いと言われています。イスラム教徒が多いため、食事(ハラル)や礼拝の時間・場所への配慮が定着の鍵となります。
手続きのポイント: 政府が管理する専用のオンラインシステム(IPKOL)を通じて手続きが進められます。介護分野での受け入れが特に進んでいます。
4. ミャンマー
特徴: 敬虔な仏教徒が多く、温厚で素直な人柄が特徴です。目上の人を敬う文化があり、日本人とも相性が良いと言われています。家族を大切にし、仕送りのために真面目に働く意欲が高いです。
手続きのポイント: ミャンマー政府が認定した送り出し機関を通す必要があります。国内情勢により、手続きの状況が変動する場合があるため、最新の情報を確認することが重要です。
5. ネパール
特徴: 忍耐強く、穏やかな性格の人が多いとされています。家族との絆が強く、日本で稼いだお金を母国の家族に送ることを大きな目的としています。標高の高い山国で育ったため、体力のある人材も多いです。
手続きのポイント: 日本とネパールの両政府が指定した送り出し機関・求人者(企業)情報に基づき、手続きを進める必要があります。
「送り出し機関」とは?なぜ重要なのですか?
送り出し機関とは、自国から海外(この場合は日本)へ労働者を送り出す業務を、政府から許可されて行う機関のことです。
【送り出し機関の主な役割】
- 日本で働きたい人材の募集、選抜
- 出国前の日本語教育や技能訓練
- 日本での労働条件や生活に関する事前ガイダンス
- 日本の受け入れ企業(または登録支援機関)との連絡調整
- 出国・入国に関する手続きのサポート
MOC締結国では、多くの場合、この政府認定の送り出し機関を通じて求人や手続きを行う必要があります。認定された機関を利用することで、法外な手数料を請求するような悪質ブローカーを排除し、適正な手続きで人材を受け入れることができるのです。
MOC非締結国からの受け入れは可能ですか?
冒頭で述べた通り、MOCを締結していない国(例:中国、韓国、台湾など)の人材も特定技能で受け入れることは可能です。
ただし、その場合は送り出し機関を通す必要がないため、企業が自力で人材を探すか、日本の人材紹介会社などを利用することになります。MOC締結国のような政府間のルールがないため、かえって手続きが複雑になったり、人材の経歴や能力の確認が難しかったりするケースもあります。信頼できるパートナー(登録支援機関など)と連携して進めることが、成功の鍵となります。
まとめ:自社の職場に合った国の人材を見つけましょう
今回は、特定技能制度の対象国について解説しました。
国籍によって文化や価値観、そして受け入れのルールが異なります。どの国の人材が自社の職場環境や業務内容に合っているか、また、手続きの流れを正しく理解しておくことが、円滑な受け入れと後の定着につながります。
- どの国から受け入れるのがベストでしょうか?
- 国ごとの具体的な手続きの流れや費用を知りたいです。
- 信頼できる海外の送り出し機関を紹介してほしいです。
このようなお悩みやご要望がございましたら、ぜひ私たち登録支援機関にご相談ください。各国の最新情報と豊富な支援経験に基づき、貴社にとって最適な外国人材の受け入れをトータルでサポートいたします。
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