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2025.08.15 コラム

ビルクリーニング分野で特定技能外国人を雇用するメリットと採用フロー

はじめに:深刻化するビルクリーニング業界の人手不足と特定技能への期待

現代社会の快適な都市環境を根底から支えるビルクリーニング業界。しかしその裏側で、今、深刻な人手不足が企業の存続をも脅かすほどの大きな課題となっています。本記事では、この課題に対する強力な解決策として注目される「特定技能」制度に着目し、ビルクリーニング分野で特定技能外国人を雇用するメリットと、具体的な採用フローについて、最新情報を交えながら徹底的に解説します。

データで見る人材確保の現状と「2025年問題」の足音

ビルクリーニング業界の人手不足は、感覚的なものではなく、データにも明確に表れています。ある調査では、ビルメンテナンス業務に携わる企業の実に9割以上が「現場従業員が集まりにくい」と回答。有効求人倍率は高い水準で推移し、特に若年層の確保は極めて困難な状況です。

この問題に拍車をかけるのが、従業員の高齢化です。現場を支えてきたベテランスタッフが次々と引退時期を迎え、2025年には現場スタッフの年齢の中央値が約70歳に達するという予測もあります。いわゆる「2025年問題」が、業界に大きな影を落としているのです。このままでは、サービスの品質維持どころか、事業の継続すら困難になりかねません。

新たな解決策としての特定技能制度とは?

こうした危機的な状況を打開する切り札として期待されているのが、2019年4月に導入された在留資格「特定技能」です。これは、国内での人材確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材の受け入れを目的とした制度です。

技能実習制度が「国際貢献」を目的とした研修であるのに対し、特定技能制度は明確に「労働力の確保」を目的としています。そのため、企業は即戦力となる人材を直接雇用し、長期的に活躍してもらうことが可能です。ビルクリーニング分野も、この特定技能の対象分野の一つとして認められており、多くの企業が人手不足解消の活路として、この制度の活用を始めています。

企業にとっての大きな魅力!特定技能「ビルクリーニング」で雇用する5つのメリット

では、具体的に特定技能外国人を雇用することは、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここでは、5つの主要なメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット1:即戦力となる専門人材の確保

特定技能の在留資格を持つ外国人は、「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」と「日本語能力試験(N4以上)」に合格しています。これは、彼らがビルクリーニングに関する専門的な知識・スキルと、業務に必要な基本的な日本語能力をすでに有していることの証明です。

したがって、企業は一から技術指導や日本語教育を行う必要がなく、育成にかかる時間とコストを大幅に削減できます。採用後すぐに現場で活躍できる「即戦力」として、人材を確保できる点は、特定技能制度の最大のメリットと言えるでしょう。

メリット2:若年層の獲得と安定した労働力

深刻な高齢化に悩む業界にとって、若く意欲のある人材を確保できることは、事業の将来を左右する重要な要素です。特定技能制度で来日する外国人の多くは、母国で技能を学び、日本でキャリアを築きたいと考える若年層です。

彼らを雇用することで、現場の活性化が期待できるだけでなく、長期的な視点での人材育成も可能になります。これにより、不安定な労働力に悩まされることなく、安定した事業運営の基盤を築くことができます。

メリット3:幅広い業務への対応力

特定技能外国人が従事できる業務は、建築物内部の清掃業務全般に及びます。具体的には、床、窓ガラス、トイレなどの日常的な清掃から、カーペットの洗浄、ワックスがけといった専門的な作業、さらにはホテル客室のベッドメイクまで、多岐にわたります。

技能実習制度と比較して、従事できる業務の範囲が格段に広いのが特徴です。そのため、企業は事業内容に応じて、柔軟に業務を任せることができ、人材活用の幅が大きく広がります。

メリット4:受け入れ人数の制限なし

特定技能制度では、技能実習制度のように、事業所ごとの受け入れ人数に上限が設けられていません。これは、企業にとって非常に大きなメリットです。

事業規模や受注状況に応じて、必要な数の人材を柔軟に確保できるため、大規模な清掃契約の受注や、事業拡大を積極的に進めることが可能になります。人材不足を理由にビジネスチャンスを逃す、といった事態を避けることができます。

メリット5:長期雇用への道と定着率向上(特定技能2号への移行)

特定技能1号の在留期間は最長で5年ですが、その後、さらに熟練した技能を持つと認められれば、「特定技能2号」という資格へ移行できる道が開かれています。

特定技能2号を取得すると、在留期間の更新に上限がなくなり、家族(配偶者と子)を日本に呼び寄せることも可能になります。これは、外国人労働者にとって、日本で長期的に安定した生活を築くための大きなモチベーションとなります。企業側にとっても、優秀な人材に長く定着してもらい、現場のリーダーとして育成していくといった、長期的なキャリアパスの提示が可能になり、結果として定着率の向上が期待できます。

採用担当者必見!特定技能「ビルクリーニング」の採用フローを7ステップで徹底解説

特定技能外国人の採用は、一般的な日本人従業員の採用とは異なる手続きが必要です。ここでは、採用を決めてから就業を開始するまでの流れを、7つのステップに分けて分かりやすく解説します。

ステップ1:求人・面接

まずは、人材紹介会社などを通じて求人を出し、採用候補者となる外国人と面接を行います。面接は、オンラインで行われることが一般的です。この段階で、候補者のスキルや日本語能力、人柄などをしっかりと見極めることが重要です。

ステップ2:受入れ企業の要件確認と準備

特定技能外国人を受け入れるためには、企業側にも一定の要件が求められます。

  • 事業所の登録: 建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業として、都道府県知事への登録が必須です。
  • 協議会への加入: 厚生労働省が設置する「ビルクリーニング分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています。これは、外国人を受け入れてから4ヶ月以内に行う必要があります。

これらの準備を事前に進めておくことで、採用プロセスがスムーズになります。

ステップ3:採用候補者の要件確認

採用する外国人本人も、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 技能試験の合格: 「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」に合格していること。
  • 日本語能力試験の合格: 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」に合格していること。

ただし、ビルクリーニング分野の技能実習2号を良好に修了した外国人は、これらの試験が免除されます。

ステップ4:雇用契約の締結

採用が内定したら、外国人本人と「特定技能雇用契約」を締結します。この契約では、以下の点が重要になります。

  • 報酬額: 日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが絶対条件です。
  • 雇用形態: フルタイムの直接雇用が原則です。

ステップ5:事前ガイダンスと支援計画の策定

雇用契約を結んだ後、外国人本人に対して、労働条件や日本での生活ルール、公的な手続きなどについて、対面またはオンラインで事前ガイダインスを実施します。

同時に、受け入れ企業は、外国人が日本で安定して働き、生活していくための「1号特定技能外国人支援計画」を作成する義務があります。この計画には、住居の確保支援、日本語学習の機会提供、生活上の相談対応などが含まれます。なお、この支援計画の実施は、専門の「登録支援機関」にすべて委託することも可能です。

ステップ6:在留資格の申請

ここからの手続きは、採用する外国人が日本国内にいるか、海外にいるかによって異なります。

  • 国内在住の外国人を採用する場合:
    地方出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行います。
  • 海外在住の外国人を採用する場合:
    1. まず、企業が代理で地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書」の交付を申請します。
    2. 証明書が交付されたら、それを外国人本人に送付します。
    3. 外国人本人が、母国の日本大使館・領事館で証明書を提出し、ビザ(査証)を申請します。

ステップ7:入社・就業開始

ビザが発給され、在留資格が許可されたら、いよいよ入国・入社となり、業務を開始します。一般的に、面接から業務開始までには、書類の準備がスムーズに進んだとしても、数ヶ月程度の期間を見ておく必要があります。

押さえておくべき注意点と対策

多くのメリットがある特定技能制度ですが、円滑に運用するためには、いくつか注意すべき点もあります。事前に対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。

注意点1:受入れ企業の義務と支援体制の構築

前述の通り、受け入れ企業には外国人に対する包括的な支援が法律で義務付けられています。自社で支援体制を構築するのが難しい場合は、無理をせず、専門知識を持つ「登録支援機関」に委託することを検討しましょう。適切な支援は、外国人の早期離職を防ぎ、定着率を高める上で不可欠です。

注意点2:文化・言語の違いへの配慮

職場での円滑なコミュニケーションのためには、文化や習慣、言語の違いを理解し、配慮することが重要です。分かりやすい言葉で指示を出す、図や写真を用いる、定期的な面談の機会を設けるといった工夫が求められます。また、他の日本人従業員にも、異文化理解を促す研修などを行うと、より良い関係構築につながります。

注意点3:転職のリスクと定着に向けた取り組み

特定技能外国人は、同一の業務区分内であれば、転職することが認められています。そのため、労働環境や待遇に不満があれば、より良い条件を求めて他の企業に移ってしまう可能性があります。

このリスクを防ぐためには、適正な労働条件を提示することはもちろん、日頃からのコミュニケーションを通じて良好な関係を築き、「この会社で働き続けたい」と思ってもらえるような魅力的な職場環境を作ることが何よりも大切です。

【2025年最新情報】特定技能「ビルクリーニング」の最新動向

特定技能制度は、社会のニーズに合わせて常に変化しています。ここでは、ビルクリーニング分野に関する最新の動向をいくつかご紹介します。

受入れ見込み数の拡大

2024年3月の閣議決定により、ビルクリーニング分野における特定技能1号の今後5年間(2024年度から)の受け入れ見込み数は、37,000人に設定されました。これは、政府がこの分野の人手不足の深刻さを認識し、外国人材の受け入れをさらに推進していくという強い意志の表れです。

試験のCBT方式への完全移行と受験機会の拡大

2025年3月から、特定技能1号評価試験は、会場に集まって一斉に行う従来の方式から、パソコンを使って受験するCBT(Computer Based Testing)方式に全面的に移行しました。これにより、受験者はテストセンターの営業日であれば、自分の都合の良い日時に受験できるようになり、利便性が大幅に向上しました。日本国内だけでなく、フィリピンやカンボジアなど海外でも受験が可能です。

新たな在留資格「育成就労」制度との関連

現在、政府は技能実習制度に代わる新たな制度として「育成就労」制度の創設を進めています。この新しい制度では、人材育成と労働力確保の両立を目指しており、ビルクリーニング分野も対象に含まれる方向で検討が進められています。今後の法改正の動向によっては、外国人材の受け入れ方法がさらに多様化する可能性があります。

まとめ:特定技能を最大限に活用し、企業の成長を加速させるために

本記事では、ビルクリーニング業界における特定技能外国人の雇用について、そのメリットから採用フロー、注意点、最新動向までを網羅的に解説しました。

深刻な人手不足と高齢化という構造的な課題に直面するビルクリーニング業界にとって、特定技能制度は、もはや単なる選択肢の一つではなく、事業を維持・成長させていくための生命線とも言える重要な戦略です。

制度を正しく理解し、適切な準備と誠実な支援を行うことで、企業は意欲あふれる優秀な人材を確保し、持続的な成長の礎を築くことができるでしょう。

特定技能「ビルクリーニング」に関するご相談・お問い合わせ

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