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2025.08.22 コラム

特定技能「建設」の試験内容とJAC(建設技能人材機構)の役割を解説

日本の社会インフラを支える建設業界。しかし、その現場は深刻な人手不足という課題に直面しています。この重要な課題の解決策として、今「特定技能」制度が大きな注目を集めています。

しかし、建設分野の特定技能制度は、他分野に比べて独自のルールが多く、少し複雑なのが特徴です。その中心的な役割を担っているのが、JAC(一般社団法人 建設技能人材機構) です。

本記事では、建設分野で特定技能外国人の受け入れを検討している企業の経営者様、人事担当者様に向けて、以下の点を分かりやすく、かつ詳細に解説します。

  • なぜ建設分野ではJACが重要なのか?その特別な役割とは
  • 合格の必須条件!「建設分野特定技能1号評価試験」の具体的な内容
  • 試験実施だけじゃない!採用と育成を支えるJACの強力なサポート体制

この記事を読めば、建設分野における特定技能制度の全体像と、成功のカギを握るJACの重要性が明確に理解でき、受け入れ準備をスムーズに進めることができるようになります。

なぜ建設分野は特別?特定技能制度におけるJACの重要性

特定技能制度において、建設分野は他分野とは一線を画す、独自の受け入れ体制が敷かれています。その核心にあるのがJACの存在です。

建設業界の適正な就労環境を守る「門番」としてのJAC

まずご理解いただきたいのは、JAC(一般社団法人 建設技能人材機構) は、建設業界全体の振興を図る「建設業振興基金」とは別の組織であるということです。JACは、特定技能制度に特化し、外国人材の適正な受け入れと保護を目的として国土交通省の指導のもと設立されました。

過去の技能実習制度では、低賃金や劣悪な労働環境が原因で失踪する技能実習生が後を絶たないという悲しい現実がありました。その反省から、建設分野ではJACが「門番」となり、外国人材が不当な条件で雇用されることを防ぎ、日本人と同等以上の待遇を確保するという非常に重要な役割を担っています。いわゆるブラック企業を排除し、業界全体の健全化を図るための機関なのです。

受入れ企業に必須!JACへの加入と「建設特定技能受入計画」

建設分野で特定技能外国人を受け入れるすべての企業は、JACに正会員または賛助会員として加入することが義務付けられています。

さらに、建設分野特有のルールとして、企業は事前に 「建設特定技能受入計画」 を作成し、国土交通大臣の認定を受けなければなりません。この計画には、適正な賃金水準(月給制)や安全衛生に関する講習の実施などが盛り込まれており、JACへの加入は、この受入計画の認定を受けるための大前提となっています。

つまり、建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、JACとの連携が不可欠なのです。

合格への第一歩!建設分野特定技能1号評価試験の全貌

特定技能1号の在留資格を得るためには、外国人本人が「技能」と「日本語能力」の2つの試験に合格する必要があります。ここでは、JACが実施する技能試験「建設分野特定技能1号評価試験」の内容を詳しく見ていきましょう。

試験の概要:CBT方式、出題形式、合格基準

試験は、全国のテストセンターでコンピューターを使って回答するCBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。

  • 出題形式: 正しいか誤っているかを問う「真偽法(◯✕式)」と、2〜4つの選択肢から正解を選ぶ「多肢選択式」で構成されます。
  • 合格基準: 学科試験・実技試験ともに、合計点の65%以上の得点で合格となります。
  • 試験言語: 問題文は日本語ですが、全ての漢字にふりがなが付いているため、日本語学習中の外国人にも配慮されています。

【学科試験】全区分共通!安全と基礎知識が問われる

学科試験は、後述する3つのどの専門区分を受験する場合でも共通の問題が出題されます。建設現場で安全に働くための、最も基本的な知識が問われます。

  • 主な出題範囲:
    • 労働安全衛生法など、仕事に関わる法律の基礎
    • 墜落・転落災害の防止、建設機械の安全な使い方など、安全衛生に関する知識
    • 各種工具の名称や使い方
    • 建築図面の基本的な見方

【実技試験】専門性が試される3つの業務区分(土木・建築・ライフライン)

実技試験は、受験者が専門とする業務に応じて、以下の3つの区分から1つを選択します。指導者の指示のもと、適切かつ安全に作業を遂行できるかが評価されます。

  1. 土木区分: コンクリート圧送、とび、建設機械施工など
  2. 建築区分: 建築大工、鉄筋施工、屋根ふき、左官、内装仕上げなど
  3. ライフライン・設備区分: 配管、電気通信、ガス・水道・電気の整備など

忘れてはいけない「日本語能力」の証明

この技能試験とは別に、日本語能力を証明する試験への合格も必須です。以下のいずれかの資格が必要となります。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
  • 日本語能力試験(JLPT)のN4以上

※ただし、日本の技能実習2号を良好に修了した外国人は、これら技能試験と日本語試験の両方が免除されます。

JACは試験を実施するだけじゃない!採用と育成の強力なサポーター

JACの役割は、試験を実施し、企業を監督するだけにとどまりません。受け入れ企業と外国人材の双方にとって、非常に心強いサポート機能を持っています。

企業と人材を繋ぐ「無料の職業紹介」

建設業では、職業安定法により有料の職業紹介が禁止されています。そこでJACは、特定技能での就労を希望する外国人と、受け入れを希望する企業を無料でマッチングする職業紹介事業を行っています。これは、JACが担う非常にユニークで重要な役割の一つです。

受け入れ後も安心!研修・講習によるスキルアップ支援

JACは、外国人材が受け入れられた後も、継続的なスキルアップを支援しています。労働安全衛生法に基づく技能講習や特別教育を、ベトナム語やインドネシア語といった母国語で無料提供するなど、安全意識と専門技能の向上を力強くバックアップします。

適正な雇用をチェック!巡回指導と相談窓口

JACは、提携するFITS(国際建設技能振興機構)を通じて、年に1回以上、受け入れ企業への巡回指導を実施します。賃金台帳の確認や、外国人本人との面談を通じて、計画通りに適正な雇用が実現されているかをチェックします。

また、制度に関する企業からの問い合わせに対応するヘルプデスク機能も備えており、受け入れに関する様々な疑問を解消してくれます。

【まとめ】特定技能「建設」の採用は、JACとの連携が成功のカギ

ここまで見てきたように、特定技能「建設」分野は、他分野にはない独自の厳格なルールが設けられています。その目的は、ひとえに 「外国人材が安心して、安全に、そして公正な待遇で働ける環境」 を業界全体で作り上げることです。

その中心的な役割を担うのが、JAC(建設技能人材機構) です。試験の実施から、企業の監督・指導、採用のマッチング、そして受け入れ後の育成支援まで、JACは制度のあらゆる場面に関わっています。

建設分野で特定技能外国人の採用を成功させるためには、このJACの役割を正しく理解し、緊密に連携していくことが不可欠です。JACを強力なパートナーとして活用することが、法令を遵守した円滑な採用、そして企業の持続的な発展へと繋がるでしょう。


建設分野の特定技能人材に関するご相談はこちら

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建設分野の特定技能制度を熟知した専門家が、貴社の状況に合わせた最適な受け入れプランをご提案いたします。

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