2025.04.19
コラム
やさしい日本語活用5選
やさしい日本語活用5選 外国人に伝わる表現とは
「外国人従業員に社内ルールを説明しても、うまく伝わっていない気がする」「製品やサービスの内容を正確に伝えたいのに、外国人のお客様にうまく伝わらない…」
そう思う方もいるかもしれません。
実は、言葉の壁を乗り越えるには、“やさしい日本語の書き方”を活用することが非常に効果的です。専門用語や複雑な文をわかりやすく伝えられることで、社内外でのコミュニケーションが大きく変わります。
やさしい日本語とは?基本ルールをわかりやすく解説【5つのポイント】
外国人従業員とのコミュニケーションに悩んでいませんか?「やさしい日本語」の基本ルールを押さえれば、その悩みは大きく解消できます。以下のポイントを順に解説していきますので、ぜひ参考にしてください。・漢字をひらがなに書き換える理由と具体例
・カタカナ語や外来語をわかりやすく言い換える方法
・文を短く区切り、情報を簡潔に伝える工夫
・曖昧な表現を避け、具体的な指示に変えるポイント
・同じ意味の言葉を統一する重要性
それでは各ポイントを詳しく見ていきましょう。
漢字をひらがなに書き換える理由と具体例
「やさしい日本語」の第一歩は、難しい漢字をひらがなに書き換えることです。外国人従業員にとって、漢字は学習に時間がかかる大きな障壁となります。特に日本語学習の初期段階では、漢字の読み方や意味を理解するのが困難です。例えば「会議室の使用規則を遵守してください」という文は、「かいぎしつのつかいかたのルールをまもってください」とすることで理解度が格段に上がります。ただし、すべての漢字をひらがなにすると却って読みにくくなる場合もあります。「東京都千代田区」のような固有名詞や、「火」「水」などの基本的な漢字は、そのまま使うことも検討しましょう。
目安としては、小学校3〜4年生までに習う漢字は使用し、それ以上に難しい漢字はひらがなに変換すると良いでしょう。必要に応じて、漢字にふりがなをつける方法も効果的です。
カタカナ語や外来語をわかりやすく言い換える方法
ビジネスシーンでは当然のように使われるカタカナ語や外来語も、実は外国人従業員にとって大きな障壁になります。特に日本語独自に意味が変化した和製英語(コンセンサス、アポイントなど)は、英語圏の人にも分かりにくいものです。例えば「アジェンダをシェアしてイノベーションを促進する」という文は、「話し合うことのリストを共有して、新しいアイデアを生み出す」と言い換えると理解しやすくなります。また「コンプライアンス」は「法律や規則を守ること」、「クオリティコントロール」は「品質管理」のように日本語に置き換えましょう。
どうしてもカタカナ語を使う必要がある場合は、簡単な説明を付け加える工夫が有効です。「プロジェクト(みんなで取り組む仕事)」のように括弧書きで補足すると良いでしょう。
文を短く区切り、情報を簡潔に伝える工夫
長い文章や複雑な構文は、日本語を母語としない人にとって理解するのが難しいものです。一文一義の原則に従い、一つの文では一つの情報だけを伝えるようにしましょう。例えば「今月末までに提出すべき書類を忘れずに記入して担当者に提出してください。」という文は、「今月末までに書類を出してください。書類に必要なことを書いてください。書類は担当者に渡してください。」と区切ることで理解しやすくなります。
また、時系列に沿って情報を並べることも大切です。「会議室を予約する前に、上司の許可をもらってください」よりも「1. 上司の許可をもらってください。2. 会議室を予約してください。」と順序を明確にした方が行動に移しやすくなります。
曖昧な表現を避け、具体的な指示に変えるポイント
日本語には「〜と思います」「できれば」「だいたい」など、曖昧さを含む表現が多く存在します。これらは日本人同士のコミュニケーションではクッションとして機能しますが、外国人従業員には「本当にそうするべきなのか」「いつまでに」「どれくらいの量」が不明確で混乱の原因になります。例えば「資料はなるべく早めに提出してください」という指示は、「資料は5月10日の午後3時までに提出してください」と具体的に伝えましょう。また、「適当な大きさに切ってください」ではなく「1辺が3cmの正方形に切ってください」と数値で示すことが効果的です。
指示を出す際には「いつ」「どこで」「何を」「どのように」を明確にすることを心がけましょう。具体的で明確な指示は、ミスを防ぎ業務効率を高めることにつながります。
同じ意味の言葉を統一する重要性
日本語には同じ意味を持つ異なる表現が豊富にあります。例えば「開始する」「始める」「スタートする」はほぼ同じ意味ですが、文書内でこれらを混在させると外国人従業員は異なる意味があると誤解する可能性があります。特に業務マニュアルや安全指示では、同じ対象や行動に対して常に同じ言葉を使うことが重要です。例えば、「消火器」と「火を消す道具」と「エクスティングイッシャー」を混在させるのではなく、一貫して「消火器」と表記するようにしましょう。
また、社内で使う専門用語や略語のリストを作成し、共有することも効果的です。「KPI」「PL」「BS」などの業界用語や略語は、説明を加えるか、別途用語集を準備すると理解が促進されます。
この「やさしい日本語」の基本ルールを意識するだけで、外国人従業員とのコミュニケーションはスムーズになります。皆さんも、ぜひ活用してみてください。
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