特定技能の試験(日本語・技能)とは?概要から免除要件、対策方法まで徹底解説【2025年最新版】
「日本で専門的な仕事がしたい」「人手不足を解消するため、即戦力となる外国人を採用したい」
そのような考えをお持ちの方にとって、特定技能は非常に重要な在留資格です。しかし、この資格を取得するためには、原則として「技能試験」と「日本語試験」という2つの壁を乗り越えなければなりません。
「どんな試験なのですか?」「自分は免除されますか?」「どうやって勉強すればいいのですか?」
この記事では、そんな疑問をお持ちの方々のために、特定技能の試験制度について、公式情報に基づき、分かりやすく解説いたします。
1. 特定技能の試験とは?2つの試験合格が原則
特定技能の在留資格を取得するためには、基本的に以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 技能試験(特定技能測定試験):各分野で求められる専門知識やスキル(相当程度の知識または経験)を持っていることを証明する試験です。
- 日本語試験:日本で生活し、仕事をする上で支障のない日本語能力を持っていることを証明する試験です。
これらの試験に合格することで、即戦力として日本で活躍できる能力があることを公的に証明できます。
2. 【技能試験】分野ごとに異なる「特定技能測定試験」
技能試験は、希望する仕事の分野(特定産業分野)ごとに内容が異なり、それぞれの業務に必要な専門知識や安全衛生に関する知識が問われます。
技能試験の概要
- 目的: 特定産業分野で即戦力として働くために必要な知識・スキルレベルを測定します。
- 実施主体: 各分野の業界団体などが実施します。
- 試験形式: 多くは学科試験ですが、分野によっては実技試験も行われます。
主な分野の技能試験一覧
分野 | 試験名 | 主な業務内容 |
---|---|---|
介護 | 介護技能評価試験 | 身体介護、利用者の心身の状況に応じた介助など |
ビルクリーニング | ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験 | 建築物内部の清掃 |
飲食料品製造 | 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験 | 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生管理 |
外食 | 外食業特定技能1号技能測定試験 | 飲食物調理、接客、店舗管理 |
建設 | 建設分野特定技能1号評価試験 | 各区分の建設作業(土木/建築/ライフライン・設備) |
農業 | 1号農業技能測定試験 | 栽培管理、飼養管理など(耕種/畜産) |
漁業 | 1号漁業技能測定試験 | 漁具の製作・補修、水産動植物の採捕、養殖管理など(漁業/養殖業) |
宿泊 | 宿泊分野特定技能1号評価試験 | フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど |
工業製品製造業 | 製造分野特定技能1号評価試験 | 各区分の製造作業(機械金属加工/電気電子機器組立てなど) |
造船・舶用工業 | 造船・舶用工業分野特定技能1号試験 | 溶接、塗装、鉄工など各区分の作業(造船/舶用機械/舶用電気電子機器) |
自動車整備 | 自動車整備分野特定技能1号評価試験 | 自動車の日常点検整備、定期点検整備など |
航空 | 航空分野特定技能1号評価試験 | 地上走行支援、手荷物・貨物取扱、機体整備など(空港グランドハンドリング/航空機整備) |
自動車運送業 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験 | 各事業用自動車の運転、荷役・接遇業務など(トラック/タクシー/バス) |
鉄道 | 鉄道分野特定技能1号評価試験 | 各区分の鉄道関連作業(軌道整備/電気設備整備/車両整備など) |
林業 | 林業技能測定試験 | 育林、素材生産など |
木材産業 | 木材産業特定技能1号測定試験 | 製材、合板製造に係る木材の加工など |
※上記は一例です。詳細は各分野の運用要領をご確認ください。
3. 【日本語試験】レベルや特徴で選べる2種類+α
日本語能力を証明するためには、原則として以下のどちらかの試験に合格する必要があります。
① 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- レベル: CEFR A2相当(「ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関して、文やよく使われる表現が理解できる」レベル)です。
- 特徴: コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式で、国内外で受験機会が多く、すぐに結果が分かります。日常的な場面でのコミュニケーション能力を測ることに重点が置かれています。
② 日本語能力試験(JLPT)
- レベル: N4以上(「基本的な日本語を理解することができる」レベル)です。
- 特徴: 世界で最も広く実施されている日本語試験の一つです。読解や聴解など、総合的な日本語知識が問われます。試験は年に数回(国内では7月・12月)と限られています。
分野によっては追加の日本語試験も必要
特定の分野では、上記の試験に加えて、専門分野で使う日本語能力を測るための追加試験が課されます。
- 介護分野: 「介護日本語評価試験」の合格が必須です。
- 自動車運送業分野(タクシー・バス): **日本語能力試験(N3以上)**の合格が必要です。
- 鉄道分野(運輸係員): **日本語能力試験(N3以上)**の合格が必要です。
4. 試験が免除されるのはどんな人?
特定の条件を満たす場合、これらの技能試験・日本語試験が免除されます。最も一般的なのが「技能実習2号を良好に修了した者」です。
技能実習2号を良好に修了した人
特定技能で従事する業務と関連性のある職種・作業の技能実習2号を良好に修了した方は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。
「良好に修了」とは?
- 技能実習を2年10か月以上修了していることです。
- 技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していることです。
- 上記試験に合格していなくても、実習中の出勤状況や生活態度などを実習実施者が評価した「技能実習生に関する評価調書」によって良好な修了が認められる場合があります。
注意点
- 関連性: 従事した技能実習の職種・作業と、特定技能で就く業務との間に関連性が認められる必要があります。(例:技能実習「農業」→特定技能「農業」)
- 一部免除されない試験: 介護分野の「介護日本語評価試験」や、自動車運送業・鉄道分野で求められる「日本語能力試験(N3)」は、技能実習2号を修了していても免除されません(ただし、介護職種の技能実習修了者は介護日本語評価試験が免除されます)。
その他の免除ケース
分野によっては、独自の免除規定が設けられています。
- 介護分野: 「介護福祉士養成施設を修了した者」や「EPA介護福祉士候補者としての在留期間を満了した者」は、技能・日本語試験が免除されます。
5. 特定技能試験の対策方法
試験合格のためには、計画的な準備が不可欠です。
技能試験の対策
- 公式テキスト・資料を確認: 各試験の実施団体は、多くの場合、公式サイトで試験範囲やサンプル問題を公開しています。まずはこれらを確認し、出題傾向を把握しましょう。
- 専門知識のインプット: 分野ごとの専門書や参考書を活用し、知識を深めます。特に安全衛生に関する項目は、どの分野でも重要視されます。
- 実技の練習: 実技試験がある分野(建設、農業など)では、実際に体を動かして練習することが合格への近道です。
日本語試験の対策
- JFT-Basic: 国際交流基金が提供する公式学習サイト「いろどり 生活の日本語」が効果的です。実際の試験形式に慣れることができます。
- JLPT: 市販の教材が豊富にあります。自分のレベルに合った単語帳、文法書、問題集を選び、繰り返し学習しましょう。
- 介護日本語評価試験: 厚生労働省が公表している学習用テキストを活用しましょう。介護現場で使われる特有の言葉や表現を覚えることが重要です。
まとめ
特定技能の取得は、日本の多くの産業にとって希望の光です。その第一歩となる技能試験と日本語試験は、決して簡単なものではありませんが、制度を正しく理解し、計画的に準備を進めれば、必ず道は開けます。
ポイントのおさらい
- 原則、「技能試験」と「日本語試験」の2つに合格が必要です。
- 試験内容は分野ごとに異なるため、自分が目指す分野の要件をしっかり確認しましょう。
- 技能実習2号を良好に修了していれば、多くの試験が免除されます。
- 公式テキストや過去問を活用し、計画的に学習を進めることが合格の鍵です。
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