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2025.08.24 コラム

【特定技能:自動車整備分野】仕事内容と必要な資格、給与水準を徹底解説

深刻化する人手不足は、今や多くの業界にとって喫緊の課題です。特に、私たちの生活に欠かせない自動車の安全を守る自動車整備業界では、整備士の不足がサービスの質や事業の継続性にも影響を及ぼしかねない状況となっています。

このような課題を解決する一つの鍵として、今、在留資格「特定技能」 が大きな注目を集めています。

本記事では、自動車整備分野で特定技能外国人の受け入れを検討されている経営者や人事担当者の皆様に向けて、制度の基本から仕事内容、必要な資格、そして気になる給与水準まで、網羅的に、そして分かりやすく解説します。


特定技能「自動車整備」とは?制度の基本を理解する

まずは、特定技能「自動車整備」制度の根幹をなす基本的な知識から見ていきましょう。

特定技能制度の目的と背景

特定技能制度は、国内での人材確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れることを目的として2019年4月に創設されました。

政府は、人手不足の状況を踏まえ、2024年3月には対象分野を拡大し、今後5年間で最大82万人の受け入れを見込むなど、その活用を積極的に推進しています。これは、単なる労働力の補充ではなく、日本の経済・社会基盤の持続可能性を支えるための重要な政策と位置づけられています。

特定技能1号と2号の違い

特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの区分があります。自動車整備分野は、この両方の区分で受け入れが可能です。

区分 主な特徴 在留期間 家族帯同
特定技能1号 特定の産業分野において、相当程度の知識又は経験を必要とする技能を持つ外国人向け 通算で上限5年 原則不可
特定技能2号 特定の産業分野において、熟練した技能を持つ外国人向け 上限なし(更新可能) 要件を満たせば可能

特定技能1号は、即戦力として活躍できる技能を持つ人材を対象としており、まずはこの1号から受け入れを開始するのが一般的です。そして、特定技能2号は、1号を修了し、さらに高度な試験に合格した者が移行できる資格であり、現場のリーダーとして長期的な活躍が期待されます。

自動車整備分野における特定技能外国人の役割

特定技能外国人は、単に不足する人手を補うだけでなく、職場に新たな活気と多様性をもたらす存在です。彼らが持つ専門知識や異なる文化背景は、組織の活性化や新たな視点の導入に繋がり、企業の成長を後押しする力となり得ます。


特定技能「自動車整備」の仕事内容

特定技能外国人が従事できる業務は、専門性が求められる中核的なものから、それに付随する業務まで多岐にわたります。

主な業務内容

特定技能「自動車整備」の資格を持つ外国人は、以下の業務に従事することができます。

  • 自動車の日常点検整備: 自動車の基本的な点検やメンテナンス作業。
  • 定期点検整備: 法令で定められた定期的な点検・整備。
  • 特定整備: ブレーキやエンジンなど、自動車の安全に直結する重要な部分の整備。これには、近年増加している先進安全技術に関する電子制御装置の整備も含まれます。

関連業務と注意点

上記の主な業務に加えて、日本人の整備士が通常行っている以下のような関連業務にも、付随的に従事することが可能です。

  • 整備内容の顧客への説明
  • 関連部品の販売
  • 洗車、清掃
  • 書類作成などの事務作業

ただし、重要なのは、専らこれらの関連業務のみに従事させることは認められていないという点です。あくまで、中心となるのは専門的な整備業務であることを理解しておく必要があります。


特定技能「自動車整備」で求められる資格とスキル

特定技能外国人として認められるためには、専門的な技能と一定の日本語能力を証明する試験に合格する必要があります。

【特定技能1号】必要な試験と技能水準

特定技能1号を取得するためには、以下の技能試験と日本語試験の両方に合格しなければなりません。

  • 技能試験:
    • 自動車整備分野特定技能1号評価試験 または
    • 自動車整備士技能検定試験3級
  • 日本語試験:
    • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) または
    • 日本語能力試験(JLPT)N4以上

これらの試験は、自動車整備に関する基本的な知識・技能と、業務上必要なコミュニケーションが取れる日本語能力を測るものです。

技能実習制度からの移行について

既に日本で 「技能実習2号」を良好に修了した外国人で、その職種が「自動車整備」である場合は、上記の技能試験と日本語試験の両方が免除されます。これは、技能実習を通じて、特定技能1号と同等以上のスキルと日本語能力が身についていると見なされるためです。

【特定技能2号】より高度な技能と経験

特定技能1号からステップアップし、より長期間の活躍を目指す特定技能2号の取得には、さらに高度な試験への合格が求められます。

  • 技能試験:
    • 自動車整備分野特定技能2号評価試験 または
    • 自動車整備士技能検定試験2級

特に「2号評価試験」に合格するためには、認証工場での3年以上の実務経験も必要となり、まさに現場のリーダーとしての活躍が期待される高い技能レベルが求められます。


給与水準と受入れにかかる費用

外国人を雇用する上で、給与設定やコストは最も気になる点の一つでしょう。

特定技能外国人の給与設定のポイント

特定技能外国人の給与を設定する上で最も重要な原則は、「日本人と同等額以上の報酬」 を支払うことです。これは法律で定められており、外国人であることを理由に不当に低い賃金を設定することは固く禁じられています。

給与水準の目安としては、同等の業務経験を持つ日本人の整備士の給与を参考に、地域や企業の規模に応じて適切に設定する必要があります。

受入れ企業が負担する費用

特定技能外国人を一人受け入れる際には、給与の他にも以下のような費用が発生します。

  • 在留資格申請費用: 地方出入国在留管理局への申請手数料。
  • 支援委託費用: 支援業務を登録支援機関に委託する場合の費用。
  • その他: 事前ガイダンスや生活オリエンテーション、住居確保の支援など、1号特定技能外国人支援計画の実施にかかる費用。

これらの費用は、企業の義務として負担する必要があります。ただし、国や地方自治体によっては、外国人材の受け入れを支援するための助成金制度が設けられている場合もありますので、活用を検討する価値は十分にあります。


特定技能外国人を受け入れるための手続きと流れ

特定技能外国人を受け入れるには、企業側にも一定の要件が求められ、定められた手続きを踏む必要があります。

受入れ機関(企業)が満たすべき基準

自動車整備分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、以下の基準を満たしている必要があります。

  1. 地方運輸局長の認証を受けた事業場(認証工場)であること: 安全な整備を行うための設備や技術が国から認められていることが大前提です。
  2. 「自動車整備分野特定技能協議会」の構成員になること: 制度の適正な運用と外国人材の保護を目的とした協議会への加入が義務付けられています。

1号特定技能外国人支援計画の重要性

特定技能所属機関には、1号特定技能外国人が日本で安定的・円滑に活動できるよう、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行うことが法律で義務付けられています。その支援内容を具体的に定めたものが 「1号特定技能外国人支援計画」 です。

支援計画には、以下の10項目の実施が必須とされています。

  1. 事前ガイダンスの提供
  2. 出入国する際の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習の機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(会社都合の場合)
  10. 定期的な面談の実施

これらの支援は、専門的な知識と多言語対応が求められるため、登録支援機関に全ての支援を委託することも可能です。

申請から受入れまでの具体的なステップ

  1. 求人・採用: ハローワークや人材紹介会社等を通じて、要件を満たす外国人材を募集・採用します。
  2. 特定技能雇用契約の締結: 労働条件等を明記した雇用契約を締結します。
  3. 1号特定技能外国人支援計画の作成: 上記10項目の支援内容を盛り込んだ計画を作成します。
  4. 在留資格認定証明書交付申請: 地方出入国在留管理局に必要な書類を提出し、在留資格を申請します。
  5. 査証(ビザ)申請・入国: 在留資格が許可された後、本国の日本大使館等でビザを申請し、取得後に入国します。
  6. 就労開始: 入国後、生活オリエンテーション等を経て、就労を開始します。

2025年最新情報:制度改正のポイントと今後の展望

特定技能制度は、社会のニーズに合わせて常にアップデートされています。

2025年4月からの主な変更点

2025年4月1日から、特定技能に関する運用が一部変更され、受け入れ企業にとって朗報となる点も含まれています。

  • 届出・申請手続きの簡素化: これまで四半期ごとだった定期的な届出が年1回になるなど、事務的な負担が軽減されます。
  • 自治体との連携強化: 外国人が地域社会に円滑に溶け込めるよう、地方公共団体との連携を強化する取り組みが求められます。

自動車整備業界の将来性と特定技能の役割

ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)、自動運転技術など、自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えています。これに伴い、整備士にも新たな知識や技術が求められるようになり、その需要はますます高まっています。

深刻な人手不足という課題を抱える一方で、自動車整備士という職業の専門性と重要性は、今後さらに増していくでしょう。このような状況において、高いスキルを持つ特定技能外国人は、日本の自動車社会の安全を未来にわたって支え続けるための、不可欠なパートナーとなっていくはずです。


まとめ

本記事では、特定技能「自動車整備」分野について、制度の概要から仕事内容、資格、給与水準、そして受け入れ手続きまでを詳しく解説しました。

人手不足の解消はもちろん、多様な人材の活躍による組織の活性化という面でも、特定技能制度は大きな可能性を秘めています。制度を正しく理解し、適切な準備を行うことが、受け入れ成功の鍵となります。

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