【2025年最新】特定技能と技能実習の5つの大きな違いとは?メリット・デメリットを徹底比較!
【2025年最新】特定技能と技能実習の5つの大きな違いとは?メリット・デメリットを徹底比較!
「外国人材の受け入れを検討しているが、『特定技能』と『技能実習』の違いがよく分からない…」
「自社にとっては、どちらの制度が合っているんだろう?」
深刻化する人手不足への対策として、外国人材の活用は今や重要な経営戦略の一つです。しかし、その代表的な在留資格である「特定技能」と「技能実習」は、似ているようで全く異なる制度です。
制度の選択を誤ると、「期待していた業務を任せられない」「すぐに転職してしまった」といったミスマッチが生じる可能性もあります。
そこで本記事では、外国人材の受け入れを支援する登録支援機関として、両制度の5つの具体的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして企業がどちらの制度を選ぶべきかについて、専門家の視点から徹底的に解説します。
まず結論!特定技能と技能実習の最大の違いは「制度の目的」
両制度の違いを理解する上で最も重要なポイントは、その制度目的です。
制度 |
目的 |
在留資格の位置づけ |
特定技能 |
労働力の確保(国内の人手不足解消) |
就労を目的とした在留資格 |
技能実習 |
国際貢献(開発途上国への技能移転) |
技能の習得を目的とした在留資格(就労目的ではない) |
特定技能は、日本の深刻な人手不足に対応するため、明確に「労働力」として外国人材を受け入れるための制度です。一方、技能実習は、日本の技術を開発途上国等へ移転することを目的とした「国際貢献」のための制度であり、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない、と定められています。
この根本的な目的の違いが、これから解説する在留期間や転職の可否といった様々な違いに繋がっています。
一目でわかる!特定技能と技能実習の比較表
まずは、両制度の全体像を把握するために、以下の比較表をご覧ください。
比較項目 |
特定技能 |
技能実習 |
制度の目的 |
労働力の確保 |
国際貢献(技能移転) |
転職 |
原則可能(同一分野内) |
原則不可 |
受入れ対象分野 |
16分野 |
多数の職種・作業 |
日本語能力 |
一定水準以上が必須(試験あり) |
入国時の要件は比較的緩やか |
在留期間 |
1号:通算5年 / 2号:上限なし |
1号~3号:最長5年 |
家族帯同 |
1号:不可 / 2号:可能 |
原則不可 |
受入れ人数枠 |
建設・介護分野以外は上限なし |
企業の常勤職員数に応じた上限あり |
受入れ機関 |
特定技能所属機関 |
実習実施者(監理団体経由が一般的) |
支援体制 |
支援計画の策定・実施が義務(登録支援機関へ委託可) |
監理団体による指導・サポート |
ここが違う!特定技能と技能実習の5つのポイントを深掘り
比較表の内容を、企業の担当者様が特に気になるであろう5つのポイントに絞って、さらに詳しく解説します。
違い①:転職の可否(人材定着への影響)
- 特定技能:原則として転職可能
特定技能外国人は、同一の業務区分内であれば、本人の意思で転職することが可能です。これは、外国人材にとってはより良い労働条件を求めてキャリアアップできるメリットがある一方、受け入れ企業にとっては人材流出のリスクがあることを意味します。そのため、長く働いてもらうためには、良好な労働環境や適切な待遇を提供し続けることが重要になります。 - 技能実習:原則として転職不可
技能実習生は、実習計画に基づいて特定の企業(実習実施者)で技能を学ぶため、やむを得ない事情がない限り、原則として転職は認められません。企業側にとっては、計画的な人材育成が可能で、安定した雇用が見込めるというメリットがあります。
違い②:求められるスキルと日本語能力
- 特定技能:即戦力としての能力が必須
特定技能は労働力確保が目的のため、外国人材には**「相当程度の知識又は経験」**が求められます。これを証明するために、各分野で定められた「技能評価試験」と「日本語能力試験」に合格しなければなりません。つまり、採用時点である程度の即戦力性が担保されています。 - 技能実習:未経験から育成が前提
技能実習は技能の習得が目的のため、必ずしも高い日本語能力や実務経験は求められません。入国後に講習を受け、働きながら(実習しながら)技術と日本語を学んでいくことが前提となります。
違い③:受入れ可能な業務範囲
- 特定技能:人手不足が深刻な「16分野」に限定
特定技能で受け入れが可能なのは、生産性向上や国内人材確保の努力を行ってもなお、人手不足が深刻な産業上の分野(特定産業分野)に限られます。2025年6月現在、以下の16分野です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
- 技能実習:国際貢献に繋がる多くの職種が対象
技能実習では、技能移転が可能と認められた非常に多くの職種・作業が対象となっています。自社の業務が特定技能の分野に該当しない場合でも、技能実習の対象にはなる可能性があります。
違い④:受入れ人数の上限
- 特定技能:受入れ人数枠が比較的大きい
特定技能では、建設分野と介護分野を除き、事業所ごとの受け入れ人数の上限がありません。多くの人材を確保したい企業にとっては大きなメリットです。(※介護分野は事業所の常勤介護職員数、建設分野は常勤職員数が上限) - 技能実習:企業の規模に応じた人数制限あり
技能実習では、受け入れる企業の常勤職員数に応じて、受け入れられる実習生の数が厳格に定められています。無制限に受け入れることはできません。
違い⑤:長期雇用の可能性(家族帯同)
- 特定技能:「特定技能2号」で永住への道も
特定技能1号の在留期間は通算で上限5年ですが、熟練した技能を要する「特定技能2号」へ移行できれば、在留期間の更新に上限がなくなり、長期的な就労が可能になります。さらに、要件を満たせば配偶者と子の帯同(家族呼び寄せ)も可能となり、日本への定着が期待できます。 - 技能実習:最長5年で、家族帯同は不可
技能実習の在留期間は最長5年(技能実習3号修了時)で、満了すれば原則として帰国しなければなりません。また、在留期間中の家族の帯同は認められていません。
【企業向け】メリット・デメリットまとめ
ここまでの内容を、企業側の視点でメリット・デメリットとして整理します。
特定技能のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
✅ 即戦力となる人材を確保できる |
❌ 転職による人材流出のリスクがある |
✅ 技能実習を修了した経験者を採用できる |
❌ 1号特定技能外国人支援計画の策定・実施が義務 |
✅ 人数枠の上限が緩やか(一部除く) |
❌ 支援を外部委託する場合、登録支援機関への費用がかかる |
✅ 2号への移行で長期雇用・定着が期待できる |
|
技能実習のメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
✅ 転職リスクが低く、計画的な育成が可能 |
❌ あくまで「実習生」であり、労働力としての扱いに制約がある |
✅ 未経験から育成できる |
❌ 技能実習計画の作成・認定など手続きが煩雑で時間がかかる |
✅ 監理団体が入国から帰国までサポートしてくれる |
❌ 受け入れ人数に上限がある |
|
❌ 最長5年で帰国が原則(特定技能への移行は可能) |
【重要】技能実習制度は「育成就労制度」へ変わります
本記事で解説してきた技能実習制度ですが、かねてより指摘されてきた課題(目的と実態の乖離など)を解消するため、廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されることが決定しました(2027年頃までに施行予定)。
育成就労制度のポイント:
- 目的を「人材育成」と「人材確保」に明記
- 本人の意向による転籍(転職)が、一定の要件下で可能に
- 特定技能へのスムーズな移行を促す仕組み
この変更により、現行の技能実習制度が持つ「転職不可」という特徴は大きく変わることになります。今後は、外国人材に選ばれ、長く働いてもらうための努力が、すべての企業にとって不可欠となるでしょう。
まとめ:自社の目的を明確にし、最適な制度選択を
特定技能と技能実習の違いを解説してきましたが、どちらか一方の制度が絶対的に優れているというわけではありません。
-
人手不足の解消が急務で、即戦力となる人材を確保したい
長期的に日本で活躍してくれる人材に定着してほしい
⇒ このような場合は「特定技能」が適しています。
-
未経験でもポテンシャルのある人材を、自社で一から育て上げたい
まずは外国人材の受け入れて育てたい(現行制度)
⇒ このような場合は「技能実習」が選択肢となるでしょう。
ただし、技能実習から特定技能への移行も可能であり、今後は育成就労制度への転換も控えています。制度は複雑化しており、自社だけで最適な判断を下すのは簡単ではありません。
「うちの会社の場合はどうだろう?」「手続きや支援について、もっと具体的に知りたい」
そのようなお悩みや疑問をお持ちでしたら、ぜひ私たち登録支援機関にご相談ください。
専門的な知識と豊富な経験に基づき、貴社の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な受け入れプランをご提案いたします。
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