2025.03.11
コラム
人材不足解消への6ステップ!採用担当者がすべきこと 第2回
人材不足が企業に与える4つの影響
人材不足の問題に頭を悩ませていませんか?この問題はあなたの会社だけではありません。以下の内容を理解すれば、人材不足が企業に与える影響の全体像がつかめるでしょう。・業績悪化、サービス低下:具体的な事例と影響
・従業員の負担増、モチベーション低下:組織への悪影響
・採用コスト増加、人材獲得競争激化:企業戦略への影響
・企業の評判低下:採用ブランディングへの影響
まずは具体的な影響から見ていきましょう。
業績悪化、サービス低下:具体的な事例と影響
人材不足は企業の業績に直接的な悪影響を及ぼします。日本商工会議所の調査によれば、中小企業の約40%が人材不足により「受注機会を逃した経験がある」と回答しています。特に製造業では生産ラインの人員確保ができず、生産能力を十分に活用できないケースが増加しています。ある中堅製造業では、本来なら24時間稼働可能な生産設備があるにもかかわらず、人手不足のために16時間稼働に留まっているという事例もあります。サービス業においては、人材不足によるサービス品質の低下が顕著です。外食産業では営業時間の短縮や一部メニューの提供停止、ホテル業では客室清掃の頻度減少などが報告されています。あるチェーンレストランでは、ランチタイムの注文から提供までの時間が平均で15分から25分に延長され、顧客満足度が20%低下したというデータもあります。このようなサービス低下は顧客離れを招き、長期的な業績悪化につながります。
従業員の負担増、モチベーション低下:組織への悪影響
人材不足は現場で働く従業員への負担増大を引き起こします。人員が足りない状況では、一人あたりの業務量が増加し、長時間労働や休日出勤が常態化しやすくなります。厚生労働省の調査では、人材不足を感じている企業の約60%で従業員の残業時間が増加したと報告されています。この過重労働はストレスや疲労の蓄積を招き、従業員の心身の健康に悪影響を及ぼします。実際に人材不足が深刻な医療・介護業界では、燃え尽き症候群(バーンアウト)の発症率が他業種と比較して約2倍高いというデータもあります。さらに、慢性的な人手不足は「自分の仕事が評価されていない」「会社は従業員を大切にしていない」という感情を生み出し、職場のモチベーション低下につながります。
モチベーションの低下は生産性の低下や品質の低下を招くだけでなく、離職率の上昇という悪循環を生み出します。ある調査では、「職場の人手不足」を退職理由として挙げる従業員の割合が年々増加しており、特に若手社員においてその傾向が顕著になっています。
採用コスト増加、人材獲得競争激化:企業戦略への影響
人材不足の状況下では、採用活動にかかるコストが大幅に増加します。求人広告の掲載料金の上昇、採用エージェントへの報酬増加、インターンシップや会社説明会の開催頻度増加など、優秀な人材を獲得するための投資が必要となります。リクルートワークス研究所の調査によれば、過去5年間で一人を採用するためのコストは平均で約1.5倍に増加しています。また、人材獲得競争の激化により、給与水準や福利厚生の充実など、人件費の上昇圧力も強まっています。特にIT人材やデジタルマーケティング人材など、高度なスキルを持つ専門職の年収は右肩上がりとなっており、企業の人件費負担を増大させています。
このような採用コストと人件費の増加は、特に中小企業にとって大きな経営課題となっています。大企業と比較して経営資源に限りがある中小企業では、人材確保のための投資が事業投資を圧迫するケースも少なくありません。結果として、事業拡大のチャンスを逃したり、研究開発投資を削減せざるを得なかったりするなど、長期的な企業戦略に悪影響を及ぼします。
企業の評判低下:採用ブランディングへの影響
人材不足による業務品質の低下や従業員の過重労働は、企業の評判に悪影響を与えます。サービス低下によって顧客満足度が下がれば、SNSや口コミサイトでの評判も悪化します。あるアパレル小売チェーンでは、店舗スタッフの不足により試着室の整理ができず、商品の返品・交換対応が遅れたことで、顧客満足度調査のスコアが前年比20%低下した事例があります。さらに、現代ではインターネット上の口コミサイトやSNSを通じて、社内の労働環境や社員の満足度が外部に可視化されるようになっています。過重労働や人手不足の状況がこうした媒体で発信されると、企業の採用ブランドイメージが損なわれ、優秀な人材の応募が減少するという悪循環に陥ります。
実際に、大手就職情報サイトの調査では、「従業員の口コミ評価」が就職活動生の企業選択に影響を与える要素として、「給与・福利厚生」「仕事内容」に次いで3位に入っています。人材不足による過重労働が口コミで拡散されることで、新卒採用や中途採用において応募者数が減少し、さらなる人材確保の困難につながるのです。
次は人材不足を解消する3つのステップについて見ていきましょう。
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