MENU

News

お知らせ

ホーム

>

お知らせ

2025.08.14 コラム

【特定技能:介護分野】仕事内容、給与水準、必要な日本語レベルを徹底解説

【特定技能:介護分野】仕事内容、給与水準、必要な日本語レベルを解説

1.【2025年最新動向】特定技能制度はどう変わる?知っておくべき3つのポイント

日本の深刻な人手不足を背景に、特定技能制度は今、大きな変革期を迎えています。制度の活用を検討する上で、最新の動向を正確に把握しておくことは不可欠です。ここでは、企業担当者様が押さえておくべき直近の重要ポイントを3つに絞って解説します。

ポイント1:受け入れ総数は82万人目標へ、介護分野も過去最多

特定技能制度の活用は、国全体で力強く推進されています。政府は2024年度からの5年間で、全産業で最大82万人の受け入れを目指す方針を掲げており、これは制度の安定性と将来性を示す重要な指標です。出入国在留管理庁の最新発表によると、特定技能1号の在留外国人数は2025年5月末時点で321,740人に達し、右肩上がりの増加を続けています。特に介護分野は、飲食料品製造業、工業製品製造業に次ぐ3番目に多い受け入れ人数を誇り、2024年12月末時点で約4万4千人と過去最多を記録。国の目標人数を達成していることからも、介護現場における彼らの重要性がうかがえます。

ポイント2:2025年4月から申請・届出ルールが変更

実務的な側面でも、制度のアップデートが進んでいます。2025年4月1日から、特定技能に関する省令が一部改正され、運用が変更されました。企業にとって最も大きな変更点は、これまで四半期ごとだった定期届出が、年に1回(毎年4月1日〜5月31日の間)に集約されたことです。これにより報告業務の負担は軽減されますが、報告内容には年間の労働日数や給与総額などが含まれ、より詳細な情報が求められるようになります。他にも、申請様式に地方公共団体との連携に関する項目が追加されるなど、より地域社会との連携を重視した制度へと進化しています。

ポイント3:新制度「育成就労」へ、2027年からの移行を見据えて

中長期的な視点では、さらに大きな制度改革が控えています。政府は、現在の技能実習制度と特定技能制度を統合・再編した新制度 「育成就労」 の創設を決定し、2027年度からの開始を検討しています。この新制度は、外国人材を単なる労働力としてではなく、育成し、キャリアパスを明確にすることで、より長く日本で活躍してもらうことを目的としています。これは、特定技能制度が場当たり的なものではなく、日本の将来を見据えた持続可能な制度へと発展していくことの証左と言えるでしょう。

2. 特定技能「介護」の具体的な仕事内容

特定技能「介護」の人材が、現場でどのような役割を担うのかを正確に理解することは、適切な人員配置と円滑な業務運営の基礎となります。ここでは、彼らが担う具体的な業務内容とその範囲を明確にします。

基本業務:身体介護と付随する支援業務

特定技能「介護」の主な業務は、介護福祉士の指導のもとで行う身体介護です。具体的には、利用者の心身の状況に応じて、以下のような介助を行います。

  • 身体の清潔保持の介助(入浴、清拭など)
  • 食事の介助
  • 排泄の介助(おむつ交換、トイレ誘導など)
  • 移動・移乗の介助

これらに加え、利用者の生活の質(QOL)を向上させるための付随業務も重要な役割です。例えば、レクリエーションの企画・実施のサポートや、機能訓練の補助、介護記録の作成などが含まれます。これらの業務を通じて、利用者に寄り添ったケアを提供します。

【重要】2025年4月から解禁された「訪問介護」の条件

制度の大きな進展として、2025年4月から、これまで認められていなかった訪問介護サービスへの従事が、一定の条件下で解禁されました。人手不足が特に深刻な訪問介護事業者にとっては朗報ですが、利用者宅で一人で対応する責任の重さから、誰でも従事できるわけではありません。従事するには、外国人材側は「1年以上の実務経験」や「初任者研修の修了」、事業者側は「同行訪問などのOJT実施」や「緊急時のサポート体制構築」といった、複数の要件を満たす必要があります。この変更は、キャリアアップを目指す優秀な人材にとって、大きな魅力となるでしょう。

注意点:医療行為や清掃・調理のみの業務は不可

業務範囲を正しく理解することも重要です。特定技能「介護」は、あくまで介護の専門職であり、医療行為(注射、採血、投薬管理など)を行うことは法律で禁じられています。 また、業務内容が「事業所の清掃」や「調理」のみといった、直接的な介護を含まない作業に偏ることも認められていません。彼らの専門性を正しく理解し、適切な業務を割り当てることが、能力を最大限に活かす鍵となります。

3. 気になる給与水準と法的要件

適正な給与体系は、人材の定着とモチベーション維持に直結する最重要事項の一つです。ここでは、法律で定められたルールと、実際の給与相場について解説します。

大原則:「日本人と同等以上の報酬」という法的義務

特定技能外国人の報酬に関して、出入国管理及び難民認定法は 「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」 を厳格に定めています。これは、「最低賃金以上」という意味では決してありません。同じ事業所で、同じ業務内容、同程度の経験や能力を持つ日本人職員がいる場合、その職員と同等か、それ以上の給与を支払う義務があります。この原則を遵守しない場合、不正な受け入れと見なされ、指導や罰則の対象となるため、細心の注意が必要です。

最新データに見る給与の目安

法的なルールに加え、実際の給与水準を把握することも重要です。厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、特定技能を含む在留資格「専門的・技術的分野」の外国人労働者の平均賃金は 月額30万円を超えており、 これは彼らの専門性が評価されていることを示しています。介護分野に特化した民間調査では、月給「15万円~20万円」の層がボリュームゾーンというデータもありますが、これは経験の浅い層を含んだ数字と考えられます。経験や能力、夜勤の有無などに応じて、適切な給与額を設定することが求められます。

賞与や福利厚生も日本人と同様に

給与だけでなく、賞与(ボーナス)や各種手当、福利厚生についても、日本人と差別的な取り扱いをすることは認められません。 昇給制度や評価制度、社会保険への加入、有給休暇の付与など、すべての待遇において、日本人職員と公平であることが、信頼関係を築き、長く活躍してもらうための基盤となります。

4. 求められる日本語レベルとその実践能力

介護の現場は、利用者やその家族、そして職員同士の密なコミュニケーションの上に成り立っています。そのため、特定技能「介護」の人材には、業務を安全かつ円滑に遂行するための一定の日本語能力が求められます。

合格が必須の2種類の日本語試験

特定技能「介護」の資格を取得するには、原則として2種類の日本語試験に合格する必要があります。

  1. 基礎的な日本語能力を測る試験「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」 または 「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」 のいずれかに合格する必要があります。
  2. 介護現場の日本語能力を測る試験:上記に加え、 「介護日本語評価試験」 への合格が必須です。

これにより、「生活に必要な基礎的な日本語力」と「介護現場で使われる専門的な日本語力」の両方を持ち合わせていることが証明されます。

「JLPT N4」はどのくらい話せる?現場での目安

では、基準となる「JLPT N4」や「JFT-Basic(A2レベル)」は、具体的にどの程度の日本語能力なのでしょうか。これは 「基本的な日本語を理解することができる」 レベルと定義されています。現場での実践的な目安としては、以下のようなイメージです。

  • 聞く: ゆっくり、はっきりと話してもらえれば、日常的な挨拶や簡単な指示(例:「〇〇さんを食堂へお連れしてください」)を理解できる。
  • 話す: 簡単な自己紹介や、基本的な質問(例:「気分はいかがですか?」)に対して、短い単語や文で答えることができる。
  • 読む: ひらがなやカタカナ、基本的な漢字で書かれた短いメモやマニュアルの要点を理解できる。

複雑な状況説明や、利用者からの込み入った相談に一人で対応するのはまだ難しいレベルですが、OJTや日々のコミュニケーションを通じて、語彙や表現を習得し、徐々に上達していくことが期待されます。

5. 受け入れ成功に向けた企業の心構えと支援体制

特定技能制度の活用を成功させるには、制度のルールを理解するだけでは不十分です。外国人材が異国の地で安心して能力を発揮できるよう、企業側の温かい心構えと、具体的な支援体制の構築が不可欠となります。

「支援計画」の策定と実行が定着の鍵

受け入れ企業には、外国人材の職業生活、日常生活、社会生活をサポートするための 「支援計画」 の策定と実行が法律で義務付けられています。この計画には、住居の確保支援、公的手続きへの同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情への対応などが含まれます。この支援計画を、単なる義務として形式的にこなすのではなく、彼らの立場に立って真摯に実行することが、信頼関係を築き、早期離職を防ぐための最も重要な鍵となります。特に、母国語で相談できる窓口の設置は、精神的な安定に大きく寄与します。

言葉と文化の壁を乗り越えるための組織的サポート

言葉の壁はもちろん、文化や習慣の違いから生じる誤解やストレスは、想像以上に大きいものです。「日本ではこれが当たり前」という考えを押し付けるのではなく、なぜそのようなルールや習慣があるのか、背景を丁寧に説明することが大切です。また、他の日本人職員にも、異文化理解を深めるための研修を行ったり、簡単な挨拶を現地の言葉で教え合ったりするなど、職場全体で歓迎し、共に成長しようという雰囲気を作ることが、組織の一体感を高め、円滑な人間関係に繋がります。

まとめ

本記事では、特定技能「介護」の仕事内容、給与水準、日本語レベルについて、2025年からの最新動向を交えて解説しました。受け入れ人数は過去最多を更新し続け、訪問介護への道も開かれるなど、制度はますます発展・拡充しています。一方で、その成功は、受け入れ企業側の正しい理解と、きめ細やかな支援体制にかかっています。

彼らを単なる「労働力」ではなく、共に未来を築く「仲間」として迎え入れ、その専門性と多様性を活かすこと。その姿勢こそが、深刻な人手不足の解消という経営課題の解決に留まらず、組織全体の活性化、そして日本の介護サービスの質の向上という、より大きな価値を生み出すことに繋がるのです。


特定技能「介護」人材の採用や、複雑な申請手続き、そして最も重要な受け入れ後の支援体制の構築まで、専門的な知識を持つ登録支援機関がお手伝いします。少しでもご興味やご不安がございましたら、まずはお気軽に無料相談からお問い合わせください。

PDFはこちら

Contact

お問い合わせ

特定技能に関するご相談、お見積り、ご質問はお問い合わせフォームよりお問い合わせくださいませ。
お急ぎの場合はお電話でも承っております。

お電話でのお問い合わせ

078-600-9852