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2025.08.16 コラム

【特定技能:工業製品製造業】(旧:素形材・産業機械・電気電子情報)とは?

はじめに:日本のものづくりを支える新たな力

日本の経済を牽引し、世界に誇る品質を送り出してきた「ものづくり」産業。しかし今、その現場は深刻な人手不足という大きな課題に直面しています。この状況を打破し、日本の製造業の未来を支える新たな力として期待されているのが、特定技能「工業製品製造業」分野の外国人材です。

人手不足に悩む製造業の現状

少子高齢化の進展に伴い、多くの製造現場で働き手の確保が困難になっています。特に、専門的な技術や知識が求められる業務では、後継者不足も深刻な問題です。このままでは、日本の高い技術力を維持し、国際競争力を保つことが難しくなりかねません。

特定技能「工業製品製造業」の誕生

こうした背景から、2024年4月、外国人材の受け入れ制度が大きく変わりました。これまで「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」と分かれていた3つの分野が、**特定技能「工業製品製造業」**として一つに統合されたのです。本記事では、この新しい制度の全体像を、分かりやすく解説していきます。

2024年4月からの大きな変更点:3分野が「工業製品製造業」へ統合

今回の制度改正の最大のポイントは、製造業における特定技能の受け入れ分野が一本化された点です。

これまでの3分野(素形材・産業機械・電気電子情報)

従来、製造業における特定技能は、以下の3つの分野に分かれていました。

  1. 素形材産業分野: 鋳造、鍛造、金属プレス加工など、製品の基礎となる部品を製造する分野。
  2. 産業機械製造業分野: 工作機械や建設機械など、工場などで使われる機械を製造する分野。
  3. 電気・電子情報関連産業分野: 電子部品や家電製品などを製造する分野。

これらの分野は、日本のものづくりに不可欠である一方、それぞれが独立していたため、受け入れ企業や外国人材にとって、手続きが煩雑になるなどの課題がありました。

なぜ統合されたのか?そのメリットとは

今回の統合は、こうした課題を解決し、より柔軟で効率的な人材活用を可能にすることを目的としています。関連性の高い業務を一つの大きな枠組みにまとめることで、企業と外国人材の双方にとって、より多くのメリットが生まれます。

統合による企業側のメリット

企業にとっての最大のメリットは、人材活用の柔軟性が格段に向上することです。例えば、これまで「素形材」の資格を持つ人材は、原則として素形材分野の業務しかできませんでした。しかし、統合後は「工業製品製造業」という大きな枠組みの中であれば、関連性の高い他の業務(例えば、産業機械の部品加工など)にも、より柔軟に従事させることが可能になります。これにより、生産状況に応じた人員配置がしやすくなり、生産性の向上が期待できます。

具体的にどんな仕事ができる?10の業務区分を解説

統合後の「工業製品製造業」分野では、従事できる仕事内容が以下の10の「業務区分」に整理されました。

特定技能1号・2号の対象となる3つの区分

以下の3区分は、特に専門性が高く、長期的なキャリア形成が期待される分野として、特定技能1号だけでなく、熟練者向けの特定技能2号の対象にもなっています。

  1. 機械金属加工
  2. 電気電子機器組立て
  3. 金属表面処理

特定技能1号のみの対象となる7つの区分

以下の7区分は、当面は特定技能1号のみが対象となります。

  1. 紙器・段ボール箱製造
  2. コンクリート製品製造
  3. RPF製造(固形燃料の製造)
  4. 陶磁器製品製造
  5. 印刷・製本
  6. 紡織製品製造
  7. 縫製

関連業務への従事も可能

上記の主要な業務に加えて、それぞれの業務に付随する清掃、運搬、管理といった関連業務にも、日本人が通常行っている範囲で従事することが可能です。

外国人材を受け入れるための要件

特定技能「工業製品製造業」の外国人材を受け入れるためには、企業側と外国人本人、それぞれが一定の要件を満たす必要があります。

受入れ企業(特定技能所属機関)の要件

  • 労働、社会保険、租税に関する法令を遵守していること。
  • 外国人材への支援体制が整っていること。(登録支援機関への委託も可能)
  • 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会(経済産業省が設置)の構成員になること。

外国人本人の要件(技能試験+日本語試験)

外国人本人は、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  1. 技能試験: 「製造分野特定技能評価試験」の、従事しようとする業務区分の試験に合格すること。
  2. 日本語試験: 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4以上」に合格すること。

ただし、関連する職種の技能実習2号を良好に修了した者は、これらの試験が免除されます。

試験の概要と対策

特定技能の資格取得を目指す上で、避けては通れないのが評価試験です。

製造分野特定技能評価試験(1号・2号)

試験は、学科と実技で構成され、コンピュータを使ったCBT方式で行われます。試験は国内外のテストセンターで実施されます。

試験のレベルと合格基準

  • 試験レベル: 技能検定3級程度が目安とされています。
  • 合格基準: 学科試験は65%以上、実技試験は60%以上の正答率が求められます。

学習用教材とサンプル問題

経済産業省のポータルサイト「製造分野特定技能外国人材制度ポータルサイト」で、学習用のテキスト(日本語・英語)やサンプル問題が無料で公開されています。受験を考えている方は、必ずチェックしましょう。

特定技能2号へのステップアップ

今回の制度改正で、製造業の多くの分野で特定技能2号への道が開かれました。

2号のメリット(長期就労・家族帯同)

特定技能2号は、熟練した技能を持つ監督者レベルの人材を対象としています。在留期間の更新に上限がなく、長期的な就労が可能になるほか、要件を満たせば**配偶者や子の帯同(家族の呼び寄せ)**も認められます。

2号への移行要件

特定技能1号から2号へ移行するには、3年以上の実務経験に加え、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 特定技能2号評価試験に合格する。
  • 技能検定1級に合格する。

まとめ:工業製品製造業分野で特定技能人材と共に未来を創る

特定技能「工業製品製造業」分野の創設は、日本の製造業が人手不足という課題を乗り越え、さらに発展していくための重要な一歩です。制度を正しく理解し、意欲ある外国人材を積極的に受け入れることで、企業は新たな活力を得て、未来への成長基盤を築くことができるでしょう。

受け入れに関するご相談・お問い合わせ

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特定技能人材の受け入れに関するご質問やご相談がございましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。専門のコンサルタントが、貴社の状況に合わせた最適なプランをご提案します。

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