工業製品製造業分野の仕事内容(溶接、機械加工等)と給与相場
日本の「ものづくり」を根幹から支える工業製品製造業。この分野は、特定技能制度の中でも特に注目度が高く、2024年には対象となる業務が大幅に拡大されました。人手不足という課題を抱える一方で、外国人材にとっては安定したキャリアを築く大きなチャンスが広がっています。
本記事では、特定技能「工業製品製造業」分野の具体的な仕事内容から、2025年の最新動向、給与水準、そしてこの分野で働くための要件まで、網羅的に解説します。特定技能での就労を検討している方はもちろん、受け入れを考えている企業の人事担当者様も、ぜひ最後までご覧ください。
2025年最新情報!特定技能「工業製品製造業」の注目動向
制度開始以来、日本の製造現場で多くの外国人材が活躍してきましたが、2024年から2025年にかけて、さらにその門戸が大きく開かれようとしています。
10業務区分へ大幅拡大!あなたのスキルが活かせる仕事が見つかる
2024年、工業製品製造業分野の対象業務は、従来の3区分から10区分へと大幅に拡大されました。これにより、さらに多様なスキルや経験を持つ人材が活躍できるフィールドが整いました。
【従来の3業務区分】
- 機械金属加工: プレス加工、溶接、塗装、鉄工、機械加工など、金属を加工して部品や製品を作り出す業務。
- 電気電子機器組立て: 電子機器の基板や部品を組み立て、配線や検査を行う業務。
- 金属表面処理: めっきや陽極酸化処理など、金属製品の耐久性や機能性を高めるための表面加工を行う業務。
【新たに追加された7業務区分】
4. 紙器・段ボール箱製造: 紙や段ボールを加工し、様々な形の箱を製造する業務。
5. コンクリート製品製造: 建設現場などで使用されるコンクリート製品を製造する業務。
6. 陶磁器製品製造: 食器や置物などの陶磁器製品を成形・加工する業務。
7. 紡織製品製造: 糸を紡ぎ、布地を織り上げる業務。
8. 縫製: 織り上げられた布地を裁断・縫製し、衣類などを作る業務。
9. RPF製造: 廃プラスチックや古紙を原料とした固形燃料(RPF)を製造する業務。
10. 印刷・製本: 書籍やパンフレットなどの印刷物を作成し、製本する業務。
このように、金属加工や機械操作といった専門的なスキルから、より幅広い製造現場で活かせる技術まで、多様な仕事が対象となっています。
2025年6月の制度変更:新組織「工業製品製造技能人材機構」設立
2025年6月下旬には、特定技能外国人の受け入れと支援を強化するため、新たな組織「一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)」が設立されました。
これまで求められていた「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」への加入に代わり、今後はこの新法人への加入が受け入れ企業に義務付けられます。この機構は、特定技能評価試験の実施や、多言語での相談対応、教材提供などを通じて、企業と外国人材双方を力強くサポートします。
受け入れ枠が3.5倍に!高まる需要と将来性
日本の製造業における深刻な人手不足を背景に、国は特定技能人材の受け入れを積極的に進めています。2024年4月から5年間の受け入れ上限人数は17万3,300人に設定され、これは以前の約3.5倍という大幅な増加です。
この数字は、工業製品製造業分野がいかに多くの人材を必要としているかを示しており、この分野で働くことは、安定した雇用と将来性を手に入れることに繋がると言えるでしょう。
【仕事内容別】具体的な業務と求められるスキル
拡大された10の業務区分では、具体的にどのような仕事が行われているのでしょうか。代表的な業務内容を見ていきましょう。
日本の基幹産業を支える「機械金属加工」「電気電子機器組立て」
これらの分野は、自動車や家電、産業機械など、日本の主要産業に欠かせない部品や製品を生み出す、まさに「ものづくり」の中核です。
- 溶接: 金属の部品同士を熱で溶かして接合する作業。高い精度と技術が求められます。
- プレス加工: 金属の板を金型でプレスし、様々な形状に成形する作業。
- 機械加工: 旋盤やフライス盤といった工作機械を操作し、金属を削ったり穴を開けたりして精密な部品を作り出します。
- 電気電子機器組立て: 図面に従って、電子部品を基板にはんだ付けしたり、部品を組み合わせて製品を完成させたりします。
これらの業務では、図面を正確に読み解く能力や、機械の操作スキル、そして何よりも安全に作業を進めるための集中力が求められます。
未経験からでも挑戦しやすい!新たに追加された7つの仕事
新たに追加された業務区分は、私たちの生活に身近な製品を作る仕事が多く含まれています。
- 紙器・段ボール箱製造: 設計図に基づき、機械を操作して紙や段ボールを裁断・折り曲げ・接着し、箱の形にしていきます。
- コンクリート製品製造: 型枠にコンクリートを流し込み、固まった製品を取り出して仕上げる作業が中心です。
- 印刷・製本: 印刷機を操作して紙にインクをのせ、断裁や折り、綴じといった工程を経て本や雑誌を完成させます。
これらの分野は、必ずしも専門的な予備知識がなくても、入社後の研修やOJTを通じて技術を習得しやすいのが特徴です。
給与水準とキャリアパス|日本の製造業で働く魅力
特定技能「工業製品製造業」で働く場合、どのくらいの給与が見込めるのでしょうか。また、将来的なキャリアアップは可能なのでしょうか。
気になる給与相場は?安定した収入と昇給の可能性
給与水準は、企業の規模や地域、本人の経験やスキルによって異なりますが、一つの目安として、月給18万円~25万円程度が相場と言われています。もちろん、これはあくまで初任給の目安であり、経験を積み、より高度な技術を身につけることで、昇給の可能性は十分にあります。
特に、専門性の高い溶接や機械加工、電気電子機器組立てなどの分野では、資格取得などが給与アップに直結しやすい傾向があります。
特定技能2号への道も!長期的なキャリア形成をサポート
工業製品製造業分野のうち、以下の業務区分では、「特定技能2号」 への移行が可能です。
- 鋳型製造、素形材製造、金属表面処理、機械加工、電気機器組立てなど
特定技能2号を取得すると、在留期間の更新に上限がなくなり、家族(配偶者と子)を日本に呼び寄せることも可能になります。現場のリーダーとして複数の技能者を指導するなど、より責任のある立場で活躍することで、長期的なキャリアを日本で築くことができます。
充実した福利厚生と安全な労働環境
日本の製造業は、労働者の安全と健康を第一に考える文化が根付いています。
- 社会保険完備: 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険といった各種社会保険が完備されているのが一般的です。
- 安全衛生教育の徹底: 入社時には必ず安全衛生に関する教育が行われ、作業中の危険予知や安全確認が徹底されています。
- 有給休暇: 法律に基づき、年次有給休暇を取得する権利があります。
安心して長く働き続けられる環境が整っていることも、この分野の大きな魅力です。
特定技能「工業製品製造業」で働くための要件
この分野で働くためには、一定の技能水準と日本語能力水準を満たしていることを証明する必要があります。
「技能」と「日本語」の試験に合格しよう
- 技能試験: 「製造分野特定技能1号評価試験」 に合格する必要があります。この試験は、従事しようとする業務区分(機械金属加工、電気電子機器組立てなど)ごとに実施されます。
-
日本語試験: 以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)のN4以上
技能実習2号からの移行なら試験免除も
日本で関連する職種の技能実習2号を良好に修了した方は、上記の技能試験と日本語試験が免除されます。技能実習で培った経験とスキルを、そのまま特定技能のステージで活かすことが可能です。
まとめ:日本のものづくりを支える一員として、新たなキャリアを築こう
特定技能「工業製品製造業」分野は、対象業務の拡大と受け入れ人数の増加により、今まさに大きな変革期を迎えています。安定した雇用環境、明確なキャリアパス、そして充実したサポート体制は、日本で働きたいと考える外国人材にとって非常に魅力的です。
この記事を読んで、少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。あなたの持つスキルと経験が、日本の「ものづくり」の未来を支える力になります。
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